
「計測地震防災」とは、対象とする建物や工場に複数の地震計を設置し、日常的に計測しながら地震防災の仕組みを構築するものです。 同じ地震であっても建物により揺れ方は大きく異なり、たとえば高層ビルでは地上階が震度3でも高層階の揺れは震度5強ということもあります。「計測地震防災」は、このような建物特有の揺れも計測することにより的確に地震への対策を提供していくことが可能です。

計測地震防災システムは、緊急地震速報や地震計データを処理する中央装置と複数個所に設置された地震計から構成されます。 本システムは、各地震計からのデータがあらかじめ設定した閾値を超えた場合、中央装置から制御対象となる設備・機器(放送装置、エレベータ監視盤、生産設備など)へ制御信号を出力するもので、実際の揺れに応じて効果的に制御信号を出力するとともに、地震計設置箇所近辺の被災状態を一元的に監視することができます。

図3は、2004年10月に発生した新潟中越地震の新宿での加速度波形(出典K-NET)と高層ビルの変位(固有周期4秒)です。長周期波の到達はP波の到達より70秒後、長周期波のピークはP波の到達から90秒後となっています。 したがって、遠隔地で巨大地震が発生した場合に、長周期波の初動による変位を検知できれば、猶予時間を十分に確保でき効果的に人の避難や設備の制御ができます。

緊急地震速報は遠方の地震には間に合いますが、周辺40~50kmで発生する近傍地震には間に合わないという技術的限界があります。 計測地震防災システムでは、独自に設置した地震計を利用して近傍で発生した地震を素早く検出し、各種設備を制御することができます。そのため、地震被害による事業中断の期間短縮や製品ロスの圧縮を図ることができます。

